あらすじ
私は、世界に一つしかない能力「月視(げっし)」のせいで、冷たい塔に幽閉された「月の女神の愛し子」。
私の世界は、偽りの愛と裏切りに満ちていた。
外界と繋がる唯一の窓は、夜空に輝く「月」。私はこの月を通して、想い浮かべた人間の視界を覗き見ることができる。
ある日、絶望の淵で月を覗いた私は、自分と瓜二つの姿を持つ少女—美桜(みお)—の視界に辿り着く。そして、その傍らにいる心優しい青年、悠真(ゆうま)の存在を知る。
彼らが見せてくれるのは、私の知る醜い世界とはかけ離れた、光に満ちた愛の光景だった。美桜の視点から見る悠真の温かい眼差しは、まるで私自身に向けられているかのような錯覚を呼び起こす。それが美桜への愛だとわかっていながらも、「愛の真実」を知らない私にとって、その眼差しは初めての希望となる。
叶わないと知りながらも、私は会えるはずのない悠真に恋をしてしまう。
塔という名の「檻」に閉じ込められ、愛する人を見つめることしか許されない主人公セレネ。
しかし、危機が訪れるとき、セレネは初めて、この絶望的な「檻」を破り、愛のために行動を起こす決意をする――。
これは、異世界を隔てて始まった、あまりにも切ない運命の物語。