あらすじ
S級パーティーが禁忌の魔獣に敗れ、壊滅した。
エースは呪われ、聖女は命を落とし、伝説の聖剣は砕け散った。人類の希望が潰えた、その絶望の現場に、男は一人で現れる。
「――依頼だな。今回の“汚れ”は、かなり酷いと見た」
男の名は、キサラギ。
ハンターギルドの正規登録者ですらない、都市伝説と謳われる存在。通称**“スイーパー(掃除屋)”**。
彼が請け負うのは、誰もが諦めた、どうしようもない“後始末”。
人類最強の賢者が解けなかった呪いを前に、彼はこともなげに呟く。
「ああ、この呪いか。面倒だな。――無かったことにしよう」
彼が指を鳴らすと、エースの体を蝕んでいた紋様は、まるでシミが落ちるように綺麗さっぱり消え失せた。
彼は砕けた聖剣の破片を拾い集め、息を吹きかける。
「これも、元通りっと」
すると、光と共に聖剣は一瞬で復元された。
そして彼は、息絶えた聖女の亡骸の前にひざまずき、静かに告げる。
「アンタの仕事は、まだ終わってないだろ。――起きろ」
その瞬間、聖女は「ハッ!」と息を吹き返した。まるで、悪夢から覚めたかのように。
―――彼のスキル【現状復帰】は、あらゆる事象を“それが起こる前”の状態へと巻き戻す、神の御業。
これは、誰にも素性を知られず、ただ黙々と、絶望的な敗北の歴史を“修正”し続ける、一人の男の物語。
人々は彼をこう呼ぶ。戦闘をせずして、全ての戦いを終わらせる最強の男、と。