あらすじ
嵐によって本土から完全に孤立した、絶海の孤島。
そこにあるのは、最先端の記憶処理技術を研究する「忘却の研究所(レーテ・ラボラトリー)」。
この施設では、深刻なトラウマを抱えた患者の「特定の記憶」だけを安全に消去する臨床試験が行われていた。
今夜、最終試験の被験者として集められたのは、職業も年齢もバラバラな男女6名。
彼らは全員、それぞれの「消したい過去」を胸に、記憶処理(トリートメント)を受けた直後だった。
異変が起きたのは、その直後。
警報が鳴り響き、彼らが駆けつけた先で待っていたのは、研究所の所長であり、記憶処理の権威でもある博士の冷たくなった姿だった。
彼は、内側から鍵がかけられた自身の研究室で、胸をナイフで刺されていた。
完璧な「密室殺人」。
パニックに陥る被験者たち。
通信手段は嵐で途絶。助けは来ない。
そして、彼らは最も恐ろしい事実に直面する。
所長を殺すことができたのは、島にいた人間だけ。
――つまり、今この場にいる被験者6名のうちの誰か。
しかし、被験者たちは全員、事件発生時刻を含む「過去24時間の記憶」を失っている。
「犯人は、この中にいる」
「しかし、誰も自分が何をしたか覚えていない」
容疑者は6名。
全員が記憶喪失。
そして、犯人自身も、自分が犯人であること覚えていない。
彼らは、残されたわずかな物証と、記憶を失う前の自分たちが残した不可解なメモを頼りに、この「記憶のない犯人」を見つけ出さなければならない。
疑心暗鬼の中、一夜が明け、第二の事件が起こるまでは……。