あらすじ

十九歳の下っ端役人・董璃央は、皇帝の命で仙人の薬・金丹を求め山を登っていた。途中で会った老人は仙人・士鵠の弟子と名乗り、士鵠はまっすぐな心の人だと言った。璃央は期待したが、士鵠は仙人と思えないほど若く、皇帝を嫌っている。金丹はもらえそうにない。 「小間使いいりませんか?」  手ぶらで帰れない璃央は、小間使いとして居座った。士鵠は冷たいが、飼われている老馬は璃央に懐いた。  麓の村の子・遊明が母の薬を受け取りに来た。璃央は士鵠の言いつけを破って薬を持ち出した。薬を届けて戻った璃央は士鵠に謝り、自分の境遇を話した。幼い頃、璃央は母と暮らしていたが、母は病気で亡くなった。母の遺品の帯飾りをきっかけに宮廷の高官である父の家に入ったが、冷遇されている。父に認められるには金丹が必要だ。話を聞いた士鵠は璃央を追い出さなかった。  夜中、母親の容態が悪いと遊明が訪ねてきた。士鵠は遊明を突き放し、母親は明朝亡くなった。璃央はしばらく遊明と暮らしただ、やがて遊明は親戚に引き取られていった。士鵠は璃央の勝手な行動を咎めず、追い出さなかった。  ある日、士鵠は璃央に生い立ちを語った。士鵠は幼い頃に家族を皇帝の奴隷狩りに奪われ、弟子の老人に助けられた。実は弟子というのは冗談で、老人は士鵠の師匠らしい。士鵠が仙人でないと知って璃央は慌てたが、金丹を作っているのは本当で安心する。互いの境遇を知り、二人の距離は縮まった。そして、璃央は士鵠を好きになっていった。  士鵠と出かけて帰ると、璃央の都の同僚と手下が家を荒らしていた。同僚は出世のため金丹を欲していた。なんとか彼らを撃退したが、金丹は駄目になってしまった。璃央が次の金丹を待っていると、士鵠が帰るなと言い出した。 「お前を好いている」  でも金丹はやれない、と士鵠は言う。士鵠は家族を奪われた怒りを忘れられない。璃央も士鵠に好きだと告げたが、母が帯飾りに託した思いを裏切れず、都へ帰る決心をした。  帰路、璃央は軍によって皇帝暗殺を企てた罪で捕まってしまう。軍は士鵠も捕えるべく、璃央を監車に入れて山へ向かった。璃央は無実を訴えたが、誰も味方になってくれない。  何日か経ち、璃央は士鵠によって助け出され、山頂の立派な御殿に連れていかれた。士鵠は璃央を残してどこかへ行ってしまう。御殿は師匠の家だった。師匠は璃央に弟子になれと誘う。弟子になったら士鵠にもう会えないと察した璃央は、御殿を出て士鵠の元へ向かった。  士鵠は弟子をやめて旅に出るらしい。璃央はもう一度士鵠に好きだと告げ、二人は肌を合わせた。士鵠が好きだ。旅に出たら離れ離れになってしまう。士鵠といっしょにいたい。 「小間使いいりませんか?」  いらないと言われてがっかりする璃央。 「旅の連れは欲しい」 士鵠と璃央は旅に出た。目指すは士鵠の故郷だ。頼りにしていると言う士鵠に、璃央は小間使いになったときと同じく、一生懸命がんばりますと答えた。

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カクヨム
カクヨム2025/10/19
  • 現在の作品仙人様、小間使いいりませんか?