あらすじ
「うーい!」
「セーフや!」
「なはははは!」
とある夜、三人の酔いどれ男たちが、じゃれ合いながら電車に飛び乗った。
ドアの近くに立ち、そのまま大声で談笑を続ける。酒の熱がまだまだ冷めず、顔は真っ赤に火照り、笑い皺が深く刻まれている。肩を叩き合いながら、無駄に楽しげな笑い声を響かせていた。
だがやがて、その中のひとりがふと黙り、奥の座席をじっと見つめ始めた。その異変に気づいたもうひとりが、訝しげに眉をひそめた。
「なあ」
「ん?」
「さっきから、だまーって向こう見てどうしたんや」
「い、いやあ……なんでもないで……」
「なんもないことないやろ」
「その、座ろかな思て……足、パンパンやし……はは……」