あらすじ
恋愛小説家・藤宮沙耶は、
“書けない”まま、恋を失くした。
かつて彼女を見つけた恋人、
沈黙で支えた編集者、
そして彼女の言葉に救われた若い読者――。
三人の男との再会が、止まっていた時間を静かに動かしていく。
触れられない距離の中で交わされた言葉、
すれ違う想い、
そして、もう一度“書く”ことへの祈り。
失くしたはずの言葉を取り戻したとき、
彼女は気づく。
――書くことは、誰かを愛することとよく似ている。
夜が明けるころ、
新しい物語が、静かに始まろうとしていた。
登場人物紹介
藤宮 沙耶(ふじみや・さや)
29歳。恋愛小説家。
“書けない”まま立ち止まっていたが、
再会した人たちとの関わりを通して、再び言葉を探し始める。
真壁 拓真(まかべ・たくま)
30歳。バー経営。
自分の店を立ち上げた頃に沙耶と出会い、恋に落ちる。
激しさと不器用さを抱えたまま、彼女への想いを手放せずにいる。
高坂 直哉(こうさか・なおや)
38歳。編集者。
沙耶のデビュー前からの担当。
理性的で穏やかだが、彼女の“沈黙”に触れた夜から、
心に言葉にならない感情を抱える。
三浦 樹(みうら・いつき)
22歳。大学生。
沙耶の小説に心を救われた若い読者。
彼女の“言葉の人”としての姿に惹かれ、
やがて自分自身も“書く側”へと歩き出す。
藤宮 沙耶の物語
“誰にも読まれない手紙”を書いていた彼女が、
“物語になる日”を迎えるまで。
それは、愛と創作をめぐる静かな再生の記録。