あらすじ
遠い昔、まだ神々や妖怪、神獣や精霊が存在していた頃の物語―
中国の大地を支配する神々や仙人は、この地を人の手に委ねようとしていた。
神々の王朝、殷の最期の時代に、彼女の物語が始まった。いや、彼女の物語はとっくの昔に始まっていたのだろう。しかし、彼女を中心とした悲劇と惨劇は確かに此所から始まったのだろう。
神々の使いなる仙人から、 王朝殷を任された紂(ちゅう)は、誠実な男だった。それもそのはず、仙人に神々の治めていた大地を任された男なのだ。誠実でない筈がない。
紂は仙人からこの後の殷の姿を概ね聞かされた。
自分の働き次第でこの殷王朝を人の手に委ねても良いとの事だった。
“我が子の代の為にも、神々に人の力を認めてもらい、この地に永世の太平を築くのだ”
紂には宝が三つあった。
一つは神々より預かったこの国
一つはその大地に住む民
一つは最愛の妻
妻の名を妲己と言った。
気立ての良く、優しく、純粋な女だった。何より妲己は大陸一の美貌を持っていた。
紂に善き妻と共に治政を行なった。
しかし、ある日妲己が紂に言った。
「つまらない」