あらすじ
時は戦国。平凡な町娘がこともあろうに城主に禁断の恋をした。
「嗚呼、との…お慕い申し上げます。お目にかかるのは叶わぬ夢。でもこの文(ふみ)さえ届けられたらミーは…」
町娘は呆れる行動力で、熱い想いをしたためた長さ5mの文を携え、城門にたどり着く。が、一介の町娘がアポなしで入れるほどに城はフレンドリーではない。
とっさに彼女は守衛から一本の矢を奪い取り、遠投300mの自慢の肩による驚異的な遠心力を持って、ええいああ!と天守に放り投げた。
「曲者ッ!出合えい!」
足軽たちは町娘を取り囲むも、娘は100m9.11秒(未公認)のポルシェ的な俊足をかっ飛ばし、あっという間に迷路のような城下(スーク)に消えていった。
果たして彼女の放った一本の矢は…ブスッと柱に刺さらないまでもピンコーン!と城主の間の風鈴を叩く。家老が襖を開けると、廊下にはすんげーテキトーに矢にぐるぐる巻きにされた文が落ちていた。
「これは…」
城主は退屈しのぎにと文を手に取る。それは思いがけず熱く赤裸々で官能的なテキストであり、ギンギンに堪能してしまった。予約特典として同封されていた、パグ犬のエフェクト効き過ぎの愛らしい娘のダブルピース自撮り写真を見て、彼は呟いた。
「わし、猫派なのよね…」
…この史実こそが、現代に脈々と伝わる秘奥義「一本奪取」(ピンポンダッシュ)の起源であるとする説は根強い。
––鈴民命書房刊『いちゃラブ❤️世界の恋文大全』より