あらすじ
短編連作。
いつも行く図書館なのに、その日初めて見る場所があった。
それは、普段は書庫に続く扉がある場所で、図書館の一番奥。
そこだけ光が届かないように、薄暗い。
本物の木で作られた高い本棚には、隙間なく本が収められているが、ほとんどの物は色あせていて古い。まるで、ここだけ時間の流れが止まっているみたい。
高い本棚の間を進むと一番奥に、いつもの貸し出しカウンターとは全然違う、木で出来た貸し出しカウンターがあった。
辺りは薄暗いのに、そのカウンターだけは、艶々と磨かれて僅かな光を集めている。
誰もいないそのカウンターから、声が聞こえた。
「秘密を守れる者にのみ、望みの知恵を授けよう。」
この図書館に導かれた者は、一冊だけ本を借りる事が出来る。
それは、その者にとって一番必要なものが書かれた一冊。
その本に記された呪文を唱えると、切実な願いは、叶うかもしれない。