あらすじ
「懐かしいなぁ」
僕の妻は行ったことのない場所を懐かしみ、涙を流す。
行動が可笑しいわけじゃないし、妻の役割から子育てまで色々しっかりしてるのに
時々違う『何か』を覗かせる。
白樺の森のこと、雲の開けた朝焼け、妻の知らないはずの場所なのに。
そこに帰りたいのだと、時々話す。
価値観や無限に広がっている道徳観念を持つ「何か」は一体何なのだろう。
本当の意味を何も聞けない僕は、本の読み過ぎで一種の夢心地から抜け出せなくて
現実のことかどうかわからなくなっているんだと。そう思い込むしかなかった。
「僕の妻のことなんですが」
だけど、誰かにこの奇妙なことを聞いてほしくて 妻を傷つけたくなくて
僕は心療内科に相談をした。