あらすじ

大人になっても発達障害は治らなかった

忘れ物を
また、忘れた朝。
玄関の靴が
私を責めている気がした。

「どうして、みんなみたいにできないの?」
その言葉が
ずっと耳の奥で
こだましている。

大学を出たら変われると思ってた。
名刺を持てば、大人になれると思ってた。
でも、現実は――
カバンの中の鍵が見つからない社会人。

会議のメモをなくして
上司に頭を下げる。
それでも、心の中では
「またやっちゃった」と
小さな自分が泣いている。

風が冷たい夜。
街の灯りが
滲んで、ぼやけて、にじむ。
涙と一緒に、世界まで不器用になる。

それでも私は、
明日の私を信じている。
少しでも忘れ物が減るように、
スマホのリマインダーに願いを込める。

治らなくてもいい。
工夫して生きられるなら。
「できない」じゃなくて、
「やり方が違う」だけ。

誰かが笑ってくれた。
「あなたはあなたのままでいいよ」
その一言で、胸の奥が少し温かくなる。

私は今日も失敗する。
でも、
立ち直る速さは
昨日より少し、早くなった。

――そうやって、生きていく。
治らないまま、
それでも前を向いて。

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アルファポリス
アルファポリス2025/10/18
  • 現在の作品大人になっても発達障害は治らなかった