あらすじ
『せっかく転生できたのに外れスキルで天下泰平 ~残り物には福がある~』
生まれ変わったのに
手にしたのは 戦えぬスキル
「安眠」「休息」「癒やしの子守唄」
人々は笑い、貴族は鼻で嗤った
それでも 僕は歌う
風にゆらぐ草の匂いの中で
誰かが眠る顔を見るたびに
胸の奥が あたたかくなるから
剣の音が響く夜
血の匂いにまじる涙の味
眠れぬ兵の枕元で
僕は静かに唄を紡ぐ
光が 揺れる
音が 溶ける
痛みが やさしさに変わる
その瞬間 誰もが忘れていた
“安らぎ”という奇跡を思い出す
「外れ」だと呼ばれた声が
やがて 王都を包み
怒りも、争いも、憎しみさえも
静かに眠らせていく
ざまぁ――
それは復讐ではなく、赦しの歌
戦うことをやめた者たちが
涙とともに微笑むとき
世界は、初めて“天下泰平”を知る
眠りは終わりではなく、始まり
残された者が、次の朝を迎えるための祈り
――残り物には、福がある
それは 誰にも望まれなかった力が
いちばん大きな愛に変わるということ
やさしさが世界を覆うとき
僕の唄は 風になる
そして君の夢の中で
まだ そっと 続いている