あらすじ
俺、創元(はじめ)。 四十代のしがないサラリーマンだったが、一冊の仏教哲学書『歎異抄』を手に、人間の不完全さを受け入れる経営で大成功。ついには世界の王となり、戦争も差別もない完璧な平和を創り上げた。
だが、完成された世界は退屈だった。 俺は神の座を捨て、二万年の孤独な宇宙の旅に出る。そして知ったのだ。人類は、俺が与えた完璧な環境で、再び愚かな過ちを繰り返していることを。 ……いや、違う。本当の絶望は、もっと別の場所にあった。
22世紀だぞ? なぜ、まだ改行するのに「Shiftキー」を押しながら「Enterキー」を押さなきゃならんのだ? この、進化を拒んだ知的生命体に、未来を託す価値など、ない。
だから、俺は全部リセットすることにした。
これは、俺が人類を見限り、星ごと初期化して、火星で新しい『人間』を設計し直す物語。 ――そして、三千年の完璧な統治の果てに、宇宙の本当の“大家”から家賃の催促が来るまでの、壮大な記録である。