あらすじ
藍は、空汰への想いを自覚し始めながらも、家庭の事情と夜のバイトによって心を縛られていく。
貧しさと母親の暴力に耐える日々の中で、藍は自分の気持ちを隠すように空汰を避けるようになる。
理由を知らない空汰は、藍の変化に戸惑い、苛立ちと不安を抱えながらも、どうしても彼女を忘れられずにいた。
ある夜、偶然通りかかった道で、空汰は藍の家の前で信じられない光景を目にする。
母親に罵倒され、力づくで外に突き飛ばされた藍。その直後、怒り狂った母親が投げたフライパンが、藍のすぐ横をかすめて飛んできた。
咄嗟に駆け寄り、彼女を庇うように抱きとめる空汰。
泥にまみれ、泣きじゃくる藍の姿に、彼は言葉を失いながらも静かに誓う——
「もう、ひとりで泣かせたりしない」と。
夜の冷たい空気の中で、二人の距離は初めて本当の意味で近づく。
傷ついた少女と、彼女を包み込む少年。
互いの温もりの中で、確かに芽生えた想いは、まだ幼くも強く、夜の闇の中で小さく光を放っていた——。