あらすじ
仮想世界《Prototype World:No.2144-B》。
それは、外の世界に出られなくなった“彼女”と出会い、共に過ごすために創られた、小さな箱庭だった。
彼と彼女はこの場所で、空を描き、風を組み立て、心を分け合った。
だが、現実の時間は止まらない。
彼女がいなくなった日から、世界もまた、彼の中で静かに閉じていった。
そして、数ヶ月後。
彼女の父──湊博士の言葉が、封じた扉を再び開かせる。
「セイ君、“あの世界”で彼女はまだ生きているかもしれない」
少年・セイは決意する。
あの日ふたりで創った世界へ、もう一度アクセスすることを。
彼を導くのは、感情を持たないはずのナビゲーターAI《ティア》。
だが、その応答には、まるで“心”のような微かな揺らぎがあった。
これは、ひとりの青年が“もう一度、彼女に会う”ために踏み出す、
記録と記憶の物語。
仮想の世界に残された“想い”は、今も静かに息をしている。