あらすじ
松下幸之助
『一灯を掲げて』
小さな六畳の部屋に
ひとつの灯がともった。
それは電球ではなく、
「信じる」という心の光だった。
貧しさは、彼を奪わなかった。
病は、彼を止めなかった。
叱責も、涙も、
すべては「人の喜びを知るための授業」だった。
ネジを締める手が震えても、
その震えの中に希望があった。
「失敗したら、また始めたらええ」
そう呟く声が、風のように温かい。
儲けるためじゃない。
生かすために働く。
会社は、社会の道具であり、
人を幸せにするための器である。
焦げた戦の空を見上げても、
彼は言った。
「道は開ける。
信じる心が灯をともす。」
老いてなお、
ペンを握る手が震える。
原稿用紙に書くのは、
未来を生きる子らへの言葉。
――一日一生。
今日を生きることは、
この国を照らすこと。
松下幸之助という灯は、
今も誰かの胸で
静かに、燃えている。