あらすじ
放課後の静かな教室。クラス委員として隣の席に座る桐谷カズキとの時間は、水野ユイにとって安息の時間だった。太陽のように明るい彼との、心地よい距離感——それが、私の世界のすべてだった。
推薦入試に不合格となった私に、担任は桐谷に勉強を教えてもらうよう提案する。関係が変わることへの恐怖。でも、どこかで期待している自分もいた。
校舎の踊り場で始まった、二人だけの勉強会。
「俺も水野と話す時間が増えるのは、嬉しいから」
彼の優しさに触れるたび、胸の奥で何かが温かく満たされていく。難しい問題が解けて笑った私に、桐谷は言った。
「水野が笑うと、なんか俺も嬉しくなる」
きっと、これは恋だった。
でも私は知らなかった。
同じ時間、同じ場所にいても、私たちは――違う世界を生きていることに。