あらすじ
生きるためには、盗むしかなかった。
間違っているなんてことは、わかっている。
でも、それしか方法はなかった。
街の貧民区で暮らしていた青年・シノは、盗みをして稼いでいた。
圧倒的な盗みの才能──周囲を見渡す広い視野、状況を見定める判断力、そして実行に移す器用さと度胸。
その才能を、シノ自身が誰よりもよく知っていて──そして、誰よりも嫌っていた。
差別され、まともに働けない。
薬も食料も価格は釣り上げられ、罪悪感を押し殺して手に入れた金は、病弱な妹の薬ひとつで消えていく。
それでも──シノには、盗む以外に道がなかった。
「仕方ないじゃないか……働けるなら、俺だって、いくらでも働いてやる……」
ただ生きるだけでも金がかかる。
大切な妹のためにも、シノは罪を重ねるしかなかった。
だが、ついにその生活も終わりを告げる。
「放せ! 仕方なかったんだ! どうしろって言うんだよ!
俺たちに、勝手にのたれ死ねっていうのか──ッ!」
盗みの現行犯で捕まり、シノはもみ合いの末、階段から転落する──
打ちどころが悪かった。
意識が消えていく。
今にも閉じてしまいそうな薄く開いた目には、真っ赤に染まった地面が映っていた。
そして数秒後──
容赦なく、慈悲もなく、シノの命が終わることを告げるように、瞼が閉じられた。
自分は、死んだ。そう思った。
だが──
二度と開くはずのなかったその瞳が再び開いたとき、シノの前に立っていたのは、白い翼を持つ女性だった。
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のんびり書いていければと思います。
よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。