あらすじ
「お前は役立たずだ」――その一言で、私の人生は終わった。
異世界に“勇者候補”として召喚されたはずが、特殊な力もなく、才能もないと笑われ、私は王城から追放されてしまう。頼れる人も行くあてもなく、ひとり荒野をさまよった先で出会ったのは、冷たい瞳をした寡黙な騎士団長・レオンだった。
「君が必要だ」
ただ一言、そう告げて彼は私の手を取った。
彼が守る辺境の砦は、戦いに疲れた人々や居場所を失った者たちが暮らす小さな共同体。私は炊事や洗濯、子どもたちの世話など、誰にでもできることを手伝うだけだったのに――なぜか、人々は「ありがとう」と笑い、私の存在を必要としてくれた。
少しずつ、私は“役立たず”ではない自分を知っていく。誰かの役に立ち、誰かの笑顔を守る喜びを、初めて知ったのだ。
次第に砦は「戦場」ではなく、「人々が暮らす場所」へと変わっていく。小さな畑が実り、子どもたちの笑い声が響き、人々が未来を語り合う街へ――その中心で、私は“ただのお荷物”ではなく“みんなの居場所”をつくる存在になっていた。
かつて自分を“無能”と呼んだ人たちが信じなかった未来が、今、私の手の中にある。
そしていつしか、冷たいはずだった騎士団長の瞳にも、私だけを映す温かな光が宿っていて――。
「君がいてくれるだけでいい」
追放された少女が、辺境の地で出会った騎士と共に歩む、優しくてあたたかな第二の人生の物語。