あらすじ

3億2000万年前、石炭紀。 酸素濃度35%の大気が支配するこの時代、地球は人類のものではなかった。体長2.6メートルの巨大ヤスデが森を耕し、翼幅70センチのメガネウラが時速50キロで空を切り裂き、数千匹のクモが直径200メートルの都市を築いていた。 彼らは言葉を持たない。しかし意志を持つ。決断を下し、失敗から学び、仲間を想い、未来を憂う。 群れを率いる巨大ヤスデ「鉄の背」は、酸素濃度の低下に苦しむ仲間たちのために、誰も知らない楽園を探し続ける。しかし、大きな体は大きな酸素を必要とする。彼の選択は群れを救うのか、それとも――。 孤高の捕食者メガネウラ「影狩り」は、空の頂点に立つ。仲間を持たず、縄張りも持たず、ただ殺すことだけに特化した彼女。しかし傷ついた翼は、王者の孤独が脆さでもあることを教える。 若きクモ「銀糸」は、何世代もかけて築かれた巨大都市の崩壊を目の当たりにする。彼女が紡ぐ銀色の糸は、新しい時代の建築思想を生み出すのか。 そして、水中から陸へ這い上がろうとする原始的両生類「泥を這う者」。彼の一歩は、やがて人類へと続く革命の始まりだった。 地下では、すべてを見る者がいる。菌類のネットワーク「根なき者」。彼らには感情がない。しかし記憶がある。彼らは選択する――誰を生かし、誰を滅ぼすのかを。 大火災、酸素濃度の低下、食物連鎖の崩壊。生態系が激変する中、種族を超えた物語が交錯する。大きな者は小さくなり、強い者は柔軟になり、孤独な者は繋がっていく。 これは恐竜以前の物語。人類以前の叙事詩。言葉なき者たちが紡ぐ、進化と絶滅のクロニクル。

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カクヨム
カクヨム2025/10/16
  • 現在の作品石炭紀クロニクル ―巨大昆虫たちの黙示録―  3億年前、酸素35%の世界で彼らは何を見たのか