あらすじ
困ってます。義兄に、愛されすぎて。
華族の令嬢として何不自由なく生きていた志乃は、妹にすべてを奪われた――家も名も、そして愛した人・律までも。
妹が義兄と結婚した日、志乃は微笑みながら紅いドレスに袖を通す。
それは祝福のためではなく、終焉のための衣。
大正十一年、桜散る東京の夜会。
社交界に流れるのはシャンデリアの光と、噂と、女の復讐。
「お姉さまには、それがお似合いよ」と笑う妹。
「奪われたものばかり数えるのは、哀しいことですわ」と微笑む志乃。
愛か、狂気か――炎の中で交わる視線の先、ひとつの指輪が紅に溶けた。
これは、愛に焼かれた令嬢の物語。
紅椿のように咲き、そして散る女の、大正浪漫修羅場劇。