あらすじ
魔術師こそが至高の存在とされる、オルディリア王国。
かつては優れた魔術師を数多く輩出した名家カヴァッリ伯爵家も、今や魔力の少ない者しか生まれず、没落の危機に瀕していた。
その一人娘であるアデーレにも、魔術師になれるほどの魔力はなく──
家の再興のため、「魔力の多い者と結婚する」という使命を背負っていた。
望まぬ夜会に通い続けるも、栄華を失いつつある家の娘に、声をかける者は誰もいない。
そんなある日、王宮の庭で出会ったのは、原因不明な胸の痛みに苦しむ、王立騎士団・魔物討伐部隊の隊長ラウル。
誰にも癒せなかったその痛みを、アデーレは「呪い」だと見抜き、いともたやすく取り去ってしまう。
その瞬間から、二人の運命は静かに交わり始めた。
恩義と事情が重なり──必要に迫られて、やがて二人は契約結婚を結ぶことに。
割り切った関係から始まったはずの、ぎこちない同居生活。けれど思いのほか穏やかで、居心地の良い時間が流れていく。
そうして、二人の心の距離は少しずつ縮まっていった。
一方、王国ではこれまでにない、魔物の異変が各地で発生しつつあった。
ラウルはその対応に奔走し、アデーレもまた、その異変の「影」に気づき始める。
──魔力に恵まれない二人が、想いを力に変え、国を揺るがす異変へと立ち向かう。