あらすじ
はるか昔、世界はまだ名も形も持たず、理(ことわり)だけが在った。
理は十二の神――干支の神々を生み、完全な秩序を築いた。だが、完璧な世界はあまりに静かで、何も変わらなかった。
巳の神・常世蛇は思う。「秩序だけでは、世界は息をしない」と。
そして神々は理の外に一つの存在を作る。
器(うつわ)、すなわち人間だった。
笑い、怒り、泣くその姿に、神々は初めて【生】の意味を見た。
やがて人は神の印、干支の印を授かり、理の力を継ぐ。だが、力はやがて歪み、印を持つ者たちは己の正しさを信じすぎた。
理は乱れ、神々は眠りにつく。世界は神を失い、ただ暦だけがその名残を刻み続けた。
――そして数千年後。
暦の輪がひとつ狂う【うるうの刻】
その歪みに生まれたのは、どの干支にも属さぬ双子の姉妹だった。
姉は理を、妹は情を宿す。だが、妹には印がなかった。
人々は彼女を恐れ、無印の子‥‥‥と呼んだ。
それでも彼女は聞いた。
風の音、水のざわめき、眠る神々の微かな息吹を‥‥‥
やがて二人は、再び動き出した“理の輪”の中心に立つことになる。
滅びか、調和か。
神々の夢が再び息を吹き返す時、世界は選択を迫られる。
選ばれなかった妹と、選ばれすぎた姉。
二つの魂が交わるとき、新たな干支の時代が始まる――。