あらすじ

「別れよう」 ——その一言で、高校生の悠真(ゆうま)の時間は止まった。 突然姿を消した幼なじみの咲(さく)。 彼女が抱えていたのは、誰にも言えなかった病――癌だった。 何もできずに立ち尽くすだけの自分が、たまらなく嫌だった。 だから悠真は決めた。 高校を辞め、夜の工場で働きながら、咲の“明日”を稼ぐことを。 昼は病室で笑い合い、夜は機械の音にまぎれて眠る日々。 やがて季節は三度巡り、手術の灯りが消えたその瞬間、 世界がもう一度、息をした。 退院した咲と二人で暮らす六畳一間のアパート。 洗濯機の震え、やかんの音、夕方のチャイム。 そのすべてが、生きている証だった。 そして卒業式の春、悠真が差し出した小箱には、 三年間の夜と、言葉にならなかった想いが詰まっていた。 ——奇跡は鳴らない。  静かな日付の隙間で、続いていく。

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カクヨム
カクヨム2025/11/01
  • 現在の作品春に、君を迎えに行く