あらすじ
【あらすじ】
2025年、東京。死は悲劇ではなく、全生涯の記憶がデジタル化された「魂の本」として軌道上の巨大書庫《ソウル・ライブラリ》に収められる、一つの手続きとなっていた。
データ修復技師の相葉ユウキは、一年前に死んだ恋人・ミサキの「魂の本」に囚われ、時間を止め続けていた。しかし、二人が愛を誓った夜の記憶だけは、原因不明の激しいノイズに阻まれ、決して開くことができない。
そんなある日、ミサキの元上司が殺害される。ユウキが禁忌を犯して被害者の「魂の本」を覗くと、そこには死んだはずのミサキの姿が犯人として記録されていた。続発する連続殺人、すべての現場に残される恋人のゴースト。ユウキは、死者の記憶をレンタルし完璧なアリバイを作り出す、闇の「アリバイ工作サービス」の存在に辿り着く。
ミサキの記憶は、誰かにハッキングされているのか? ノイズに覆われたあの夜こそが、リアルタイムで犯行を重ねる真犯人の不在証明なのか? 警察も知らないデジタル犯罪を前に、ユウキは愛する人の記憶の尊厳を守るため、広大なデジタルアーカイブの海へ、たった一人の孤独な追跡を開始する。
【登場人物紹介】
相葉 ユウキ(アイバ ユウキ)
本作の主人公。ソウル・ライブラリに勤務するデータ修復技師。誠実な性格だが、恋人ミサキの死から立ち直れずにいる。彼女の「魂の本」に残されたノイズの謎を追ううち、巨大な陰謀と対峙することになる。
ミサキ
ユウキの亡き恋人。聡明で心優しい女性だったが、一年前に遺伝子工学の違法な研究に巻き込まれ命を落とす。彼女の「魂の本」は、物語の鍵を握る重要な存在となる。
アカリ
ミサキと瓜二つの容姿を持つ、謎の女性。その正体は、幼い頃に引き離されたミサキの双子の妹。姉の死の真相を知り、その復讐のため、ミサキの記憶をレンタルして連続殺人を実行する。氷のような冷徹さの裏に、深い悲しみを秘めている。