あらすじ
舞台女優・藤原美月(26)は、観客を魅了する演技で成功を収めていた。だが楽屋の鏡に映る自分の顔が、いつも他人のように見える。化粧を落とすたび、「これが本当の私なのか」という疑問が頭をよぎる。
高校からの恋人・太陽の前でさえ、何かを演じている気がしてならない。あの頃の自分は本物だったのか。それとも今が本物なのか。
ある日の稽古で、美月は「自分を偽り続けて心が壊れていく女性」を演じることになった。台本を読んだ瞬間、背筋が凍る。まるで自分自身を書かれているようだった。
「誰か、私を見て。本当の私を——」
台詞を言った瞬間、涙が止まらなくなった。膝から崩れ落ちる。これは演技じゃない、本当の涙だ。もう何が本当で何が演技なのか分からない。
「カット!素晴らしい!それだ、美月さん!」
演出家の賞賛が、耳に突き刺さる。
私の苦しみが、また「素晴らしい演技」として消費されていく——。
その夜、美月は太陽のアパートを訪ねた。
「私、あなたといる時も、何か演じているのかもしれない」
告白すると、太陽は静かに笑った。
「それでもいいよ。美月が演じていても、演じてなくても、僕にとっては同じだよ。君は君だから」
その言葉の意味が、美月には理解できなかった。
「もう、何が本当の私なのか分からないの」
涙が溢れそうになる。でも、この涙さえも演技に見えてしまう気がして、必死に堪えた。
太陽はしばらく黙っていた。そして、ゆっくりと口を開く。
「本当の美月って、何?」
ある賞に応募しようと制作した作品なんですが、字数オーバーしてしまいました、、、でもいい作品だと思うので投稿させていただきます。