あらすじ
虚言の勇者と世界の変革』あらすじ
疲弊と逃亡
戦争の道具として使い潰され、心身ともに疲弊した勇者シオン。彼は「ふざけた返し」で本心を隠すが、仲間を守るためには冷酷に敵を殲滅する歪んだ優しさを持っていた。国同士の戦争に絶望したシオンは、自らの死を偽装し、谷底へ落ちるように見せかけて消息を絶つ。
数年後、近隣諸国を旅する彼の耳に、「魔王が新たな勇者に討伐された」という噂が届く。シオンは世界から解放されたと安堵するが、その平穏は長く続かなかった。
再会と真実
ある日、彼の後を追う透明な追跡者が出現する。王国からの追手だと察したシオンは、いつもの調子で「誰だ、分かっている」と鎌をかけ、姿を現させた。そこにいたのは、若い女性の姿をした魔王リリスだった。
討伐されたはずの魔王は、それは自身を狙う王国の暗殺者から逃れるための偽装工作であり、噂は敵対勢力の流した嘘だと告げる。リリスの目的は、シオンが意図的に姿を消したことを見抜き、彼を手元に置いて人間同士の戦争を強制的に終わらせること、そして聖女様と同盟を結ぶことだった。
複雑化した世界
しかし、シオンの逃亡と魔王の偽装死が招いたのは、計画とは真逆の事態だった。シオンという抑止力を失った人間社会は、かえって分裂し、魔王軍の脅威がないと判断して魔族・亜人種への差別と攻撃を激化させていた。
「お前が逃げたせいで、世界はもっとふざけた場所になった」――
魔王リリスは、「人間同士の戦争を、魔王軍と人間との戦争に変えて和平に導く」という当初の計画が破綻し、世界政治がより複雑で泥沼化したことをシオンに突きつける。
これは、自らの意思に反して世界を混乱させた元・勇者シオンが、元・魔王リリスと共に、複雑に絡み合った世界の政治と根深い憎しみの連鎖に立ち向かう、再起の物語である。