あらすじ

親友が死んだ夜、彼の中で何かが確かに壊れた。 それは理性でも、信念でもない。 ――生きる意味そのものだった。 葬儀のあと、彼は参謀本部の机に戻る。 膨大な書類の山、命令と報告の無限の連鎖。 けれどどんなに働いても、どんなに眠らずに過ごしても、胸の奥の空洞は埋まらない。 夜ごと、薬の瓶を開け、安い煙草を吸い、街の暗がりへ降りていく。 金で買った男の体温に、ほんの一瞬だけ親友のぬくもりを重ねる。 だが、吐息の隙間に浮かぶのは、あの最期の笑い声――「俺を、見てくれよ」。 冷たくなった指を思い出すたび、彼は少しずつ人間をやめていく。 名家の血を継ぐ人間、参謀――そのどれでもなく、 ただ親友の亡霊を抱きしめるためだけに、生き延びている。

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カクヨム
カクヨム2025/11/03
  • 現在の作品或る青年将校