あらすじ

目を覚ますと、そこは「残響の部屋」と呼ばれる、静謐で謎めいた空間だった。主人公(ユウト)は自らの名前さえ思い出せない。窓の外には音を立てない雨が降り続き、ただ孤独だけが形をとった部屋で、彼は銀色の瞳を持つ「記録者」リネと出会う。 リネは告げる。机の上の古びた日記帳こそが、彼の失われた時間そのものを記録する装置であり、そしてそれは「あなたのものよ」と。 日記に触れるたび、視界は白く弾け、過去の断片が蘇る。小さなペンダントが示すのは、雨の中で交わした「約束」と、記録から消されたはずの少女「セラ」の存在。セラはユウトを探すため、存在の枠組みである「記録」を拒み、「記録の外」という未知の領域へと旅立っていた。 失われたヒロインを追って、ユウトもまた記録の境界を超える。そこで彼は、自身が「書かれなかった主人公」であったという残酷な真実を知る。 二人の存在は、ひとつの世界に同時に残れない。ユウトとセラは、世界の再構築のために究極の選択を迫られる。 愛と犠牲によって紡がれる、記憶の海を巡る物語。たとえ忘れても、誰かが読み続ける限り、物語は永遠に息をする。 これは、消えゆく世界の中で、愛する者のために自らの存在意義を賭けた「書き手」と「記録者」たちの物語である。

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カクヨム
カクヨム2025/11/04
  • 現在の作品記録の外で君を待つ