あらすじ
現代日本――。異能が日常へと溶け込み、警察機構内にもその力を帯びた者たちが存在する世界。
神楽坂 零は、警視庁特務課傘下の「都市伝説課」に所属する鑑定師。彼女の異能は“残滓鑑定(ざんし・かんてい)”――触れた物体から残された思念の残響を読み取るという、非常に稀有で強力な能力だ。
しかし、零には極度の対人恐怖症と失声症があった。言葉を発せず、人と交わることを極端に避ける彼女は、常に厚手のフードに顔を隠し、筆談とジェスチャーのみで職務を遂行。組織からは「無言の鑑定士」と呼ばれ、近寄りがたい天才として距離を置かれていた。
ある日、連続失踪事件の捜査が都市伝説課に回される。その“神隠し”として処理されかけた事件の現場に赴いた零が読み取ったのは、都市の暗がりで囁かれる“影の魔術師”の痕跡。そして、その魔術師が残したという、この世界を根底からひっくり返す陰謀の残滓だった。
言葉を奪われた最強の鑑定師。そして、彼女を唯一理解する無愛想な上司、元エリート魔術師――二人で筆談と残滓鑑定によって謎を掘り起こし、現代社会の影に潜む“もう一つの真実”を暴いていく。
言葉を発せずとも、残響が語る。声なき鑑定師は、都市の闇を照らす。