あらすじ

二〇二四年、四十歳の大須賀直樹は、ある深夜の瞬きののち、二十年前――一九九九年四月、桜がまだ冷たい風に揺れる高校入学式の朝へと“巻き戻る”。  身体は十六歳、記憶は四十歳。戸惑いはやがて決意へ変わり、直樹は「やり直す」ことを選ぶ。幼少から青年までに積み上げた演奏と作曲の技術、そして未来で耳にした膨大な“まだこの時代に存在しない”音の構造をヒントに、彼は行動を開始する。  九〇年代の尾がなお色濃い街には、ポケベルの名残と新しい携帯の着信音、商店街のCDショップ、駅前の路上ライブ。直樹は部活動に入り、放課後はPHSと公衆電話を使い分けて仲間を集め、週末はMDとCD-Rを鞄に詰めて街角へ立つ。  未来で親友だった者たちには、過去より少し勇気のある言葉で近づき、疎遠になった幼馴染には、あの時言えなかった謝罪と、今度こそ守るという約束を差し出す。高校時代に起きるはずだった小さな破局――バンド内の確執、無断外出の誤解、機材破損からの責任問題――を、直樹は一つずつ未然にほどいていく。  学祭のステージ、深夜の河川敷、雨上がりのアーケード。MDに焼いたデモが思わぬ反応を呼び、小さなライブハウスのオープニング枠が決まる。やがてY2K(2000年問題)を前に街がざわめく年末、直樹は気づく――自分を縛っていたのは“音楽”ではなく、“音楽に向き合えない臆病さ”だったのだと。  決められていたはずの悲劇は、まだ形を持たない影として近づいてくる。未来の知識で無双するのではなく、今日の一音で明日を変える。直樹は仲間とともに、運命のコード進行を書き換えにかかる。  過去と未来の狭間で、彼は何を思い、何を聴き、何を奏でるのか。呪縛は祝福へと転調するのか。物語は、ステージの先の眩しさへ向かって進行中だ。  ――作者にも予測不能。気ままに綴るぼんやりストーリー、もしよければ今夜も一曲ぶんだけお付き合いを。  ※作中の音楽・人物・団体はすべてフィクションです。現実の作品・アーティストとの関係はありません。似ていても、きっと気のせい……ということで。

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カクヨム
カクヨム2025/11/01
  • 現在の作品平成サウンド・ルネサンス――呪縛を祝福へ