あらすじ
【東京帝国女学院シリーズ】スピンオフ。愛子の物語。
終戦間際の東京。東京帝国女学院三年の阿佐野愛子は、「思いつき」で失敗を重ねる十八歳。焼け跡から酒粕を拾って泥酔、内緒で帝国歌劇団のオーディションを受け、看護婦として派遣されるも逃亡——。父に叱られるたび謹慎になり、ついには屋根裏部屋に閉じ込められる。そこで迎えた終戦の日。戦争が終わっても、彼女の「思いつき」は終わらない。焼け野原の中、愛子は悟る。「何かになる」のではなく、「何かでいる」こと。失敗も、謹慎も、全部が青春だったのだと。焦げた酒粕の匂いに、戦争と希望が混じっていた夏の物語。