あらすじ
【これは、英雄ではない男が、世界に「真実」という毒を撒く物語。】
聖都の民衆は、聖徒ザインが起こす「奇跡」に熱狂していた。
だが、その聖性は、すべてが**【嘘(トリック)】**だった。
彼の正体は、神の力を持たない天才「奇術師」。
妹の命を人質に取られ、秩序の維持を至上とする冷徹な司祭長アウグストゥスに支配され、彼は偽りの聖性を演じ続けていた。薬品で手を焼き、心をすり減らす、絶望的な日々。
そんなある日、ザインは教団がひた隠しにしてきた「本物の闇」と遭遇する。
それは、彼の奇術が一切通用しない、教団に声を奪われた者たちの怨念――『烙印の咎人』だった。
道具として欺瞞の中で生き永らえるか。
それとも、人間として真実を叫び、破滅するか。
追い詰められた奇術師が、その命と尊厳の全てを賭けて仕掛ける、聖都の欺瞞を暴く「最後の舞台」が今、始まる。