あらすじ
昭和十三年。
魚守 結は海辺の村に母親とふたりで暮らしていた。
綺麗で優しい母親、仲の良い友人たち、暖かい村の人たちに囲まれて毎日が楽しくて幸せだった。
やがて結が十四才になったとき、出稼ぎに行っていた幼なじみの圭佑が帰ってくる。
初めて感じるたくさんの感情。暖かいもの。ふつふつと胸を焼くようなもの。そんな思いに振り回される自分に戸惑った。
『嫌だ。ほかの人を見ないで。母さんのこと、綺麗だなんて言わないで』
自慢だった母親に、初めて嫉妬した。そして結はその感情の名を知る。戸惑いながらも喜びとともに受け入れた、それは『恋』だった。
自分の中の新しい感情を認めると、結の日常は明るく輝くものに変わっていった。
しかしそんな幸せの最中、母親が姿を消してしまう。
母さん。どこに行ったの? ねぇ母さん。どうして母さんはいつまでも若いままだったの?
母さんは一体、何者なの――?