あらすじ
東亜コウキは、静かに死を望んでいた。
進学に失敗し、地元の工場で無気力に働く日々。
家族とは適度な距離を保ち、感情を持たず無意味に過ごす日常のなかで、
唯一彼を現世に繋ぎとめていたのは――
幼馴染、森戸ナオとの何気ない日常という“友情”だった。
女性のような外見と仕草で“友達”として無防備に笑いかけてくるナオ。
コウキは劣情と羨望、そして過去のコンプレックスが複雑に絡み合い、
ついに友情は暴力へと姿を変える。
「お前には幸せなんて訪れない」
その言葉は、ナオを傷つけるためのものだったのか。
それとも、自分自身にかけた呪いだったのか。
恋ではない。けれど、友情と呼ぶには脆すぎる。
“男”としても“女”としても愛せなかった。
だからこそ、ふたりはただ、同じ孤独に触れ合っていた。
崩れそうな日常と、壊れる寸前の心。
それでも「君がいたから、生きてしまった」と言えるなら――
この歪な関係に意味はあるのだろうか。
――この友情が、恋に変わる前に――