あらすじ
──風は唄い、森は祈る。
開進大学の教授・双葉恭介は、二年間の記憶を失っていた。
絶滅したはずの在来植物を発見し、若くして教授となった彼は、成功の影で深い空白を抱えている。
研究のために訪れた山で、
恭介は教え子の藤野美咲、片桐修治とともに、
龍神を祀る森──人と神の境界に迷い込む。
春しか訪れない里で出会った人々との交流の中、
恭介の失われた記憶が少しずつ呼び覚まされていく。
だが、森は声を上げ、風が悲しみを唄うとき、
恭介はその“空白の時間”が何を意味していたのかを知ることになる。
──雪が降る。けれど、温かな風に溶け、積もることはない。
風が残し、森が語るのは、
人と自然が再び出会うための祈り。