あらすじ
朝の鐘が鳴り、光に満ちた聖都リオラで一日が始まる。
聖騎士リリア・セインは、いつも通り祈りから朝を迎えた。
「神に感謝を」――その言葉は、彼女にとって息と同じ。街の人々も皆そうだ。祈り、働き、感謝し、眠る。それが正しい生き方だった。
任務のない穏やかな日、リリアは同僚のエレナや上官ヴェイルと共に礼拝堂を清め、訓練をし、孤児院を訪れる。
子どもたちの笑い声、パンの匂い、祈りの歌。
そのすべてが「神の愛の証」だと信じていた。
孤児院の庭では、リリアは小さな子どもたちと遊び、絵を描き、光の話をする。
ミナという少女が「光のにおい」を描こうとする姿に、リリアは優しく微笑む。
それはこの街の誰もが信じる“無垢な信仰”そのものだった。
彼女は思う。
――この世界は美しい。
――神は人を見守っておられる。
――自分は、正しい道に立っている。
夜、窓辺で祈りを捧げながら、リリアは静かに目を閉じる。
明日もまた、笑いと祈りで満たされた一日になるはずだと信じて。