あらすじ
大手建築家として華やかなキャリアの頂点に立つ椎名 麗。
しかし、彼の成功は、病に倒れた天才的な親友、榊原 誠の才能を盗んだ代償だという罪悪感に常に苛まれていた。
ある日、彼の設計図に、亡き誠の筆跡を思わせる「完璧すぎる修正線」が出現する。
麗は、自分の才能の欠落を埋めるため、誠の亡霊に取り憑かれたと信じ込み、その力に狂気的に依存していく。
すべてを失う瀬戸際、麗は誠の妻から思いがけない真実を知らされる。彼を支配していた亡霊の正体は、他でもない「自己不信」が生み出した、彼自身の最高の才能だった。
嫉妬と自己欺瞞の煉瓦で積み上げた虚飾の塔が崩壊するとき、男は孤独な再生の道を歩み始める。