あらすじ
鈴木彩世、二十六歳。裏社会の「情報屋」として、法廷で真実より重い“信用度”を数値化し売る稼業をしている。彼女の手がけるのは、証言を“買えるもの”に変える職人技。依頼は金と権力の匂いを運び、勝ち負けが人の人生を引き裂く。
ある夜、彩世は十年前の事件を操った“証人”の信用度データの発信源を辿るうち、ある通知と出会う。──投獄中の男、鈴木隆司。彼は血のつながった“兄”だった。だが彩世自身が、かつてその兄を陥れた“嘘”の生成に関わっていたと知る。
嘘で得た富と、血縁としての情。しかしその間に正義など存在しない。彩世は情報の掟を破り、兄を陥れた真犯人へと向かう。だが証言マーケットは深く、司法とメディア、企業、そして個人の信頼が絡み合う。嘘を売る女が、自分の売った嘘に裏切られるとき、何が残るのか——。