あらすじ
夕焼けに染まる故郷の川岸で、交わされた小さな約束。
「一人前になったら、私を迎えに来てくれる?」
浮世絵の彫師見習い・創真は、幼馴染のこはるとの約束を胸に、江戸での修行に旅立ちました。しかし6年後、故郷で彼を待っていたのは、こはるが姿を消し、病の母を抱えて江戸に向かったという報せでした。
こはるを探すため、再び江戸の街へ向かった創真。苦難の末に彫り上げた美人画には、なぜかこはるの面影が宿り、その評判は瞬く間に広まっていきます。そしてある日、運命の糸が二人を引き寄せ、創真は夕暮れの川岸でこはると奇跡の再会を果たします。
しかし、再会したこはるの瞳の奥には、創真の知らない悲しい影が揺らめいていました。なぜ彼女は家を頑なに拒むのか?なぜ「用事がある」と嘘をつくのか?彼女を想う気持ちと、言葉の端々に感じる違和感に、創真は引き裂かれそうになります。
二人の想いはすれ違い、やがて衝撃の真実が創真に突きつけられるのです。
これは、一人の職人が、愛する人を救うために彫刻刀に魂を込めた物語。
そして、運命に翻弄されながらも、真実の愛を探し求めた二人の物語です。美人画に込められた希望、そして隠された絶望。彫刻刀が刻むのは、果たして愛か、それとも絶望か。