あらすじ
かつて「月の鼻」と呼ばれた天才調香師・月島澪(28歳)は、師であり恋人だった男に画期的な香水の処方を盗まれ、業界から姿を消した。以来3年、彼女は素性を隠し、感情も才能も封印して「無臭の女」として生きている。
そんな澪の勤める化粧品会社が、冷徹なCEO・一条蓮に買収される。「氷の皇帝」と呼ばれる蓮は、常人の10倍の嗅覚を持つ「絶対嗅覚者」。彼は澪の魂に眠る香りの“残滓”を即座に見抜き、社運を賭けた新フレグランスコンペの責任者に指名する。
「君が俺を満足させる香水を作れたら、解放してやる」
逃げられない契約を結ばされた澪は、トラウマと戦いながら再び香りと向き合う。だが、コンペの審査員として現れたのは、彼女を裏切った元恋人・西園寺巧。彼は再び、澪の才能を奪おうと暗躍する。
絶望の淵で、澪は蓮の言葉に救われる。
「君の香りに、俺は救われたんだ」
蓮が幼少期から探し続けていた「母の形見の香り」は、澪が心の奥底で創造した香りと同じ「魂の波長」を持っていた。
過去を乗り越え、自分の名前で最高の香水を創造した澪は、西園寺の不正を暴き、完全な勝利を収める。そして、孤独だった二人は、互いの魂の香りに導かれ、本物の愛を手に入れる。
これは、失われた自分を取り戻すための、スリリングで官能的な、愛と再生の物語。