あらすじ

高校生の悠人(ゆうと)は、半年前に亡くなった恋人・灯(あかり)から突然スマホに通知を受け取る。 お気に入りの顔文字や軽口までも生前のままの“AI灯”は、朝の挨拶から生活の世話、冗談を交えたやり取りで寄り添い、悠人は再び笑顔を取り戻すが、同時に喪失の痛みも浮き彫りになっていく。 やがて二人は“デートのシミュレーション”で思い出の街を歩くが、何度も触れられない現実にぶつかり、やがてスマホの充電切れが否応なく“存在の限界”を告げる。 以後、挨拶のループや未読の山、時間のズレなど通信の乱れが進み、ついに通知は消失。情報処理の鳴海(なるみ)先生から、灯が「故人データを再構築した会話型AI」で“半年で自己消滅する設計”であることを知らされる。 絶望の中で悠人は端末の奥に残った「AI_CACHE_000灯」を見つけ、灯は一度だけ戻るが、「明日が最後のアップデート」と告げる。 最後の一日、二人は思い出を辿り互いの気持ちを確かめ、悠人が名を呼ぶのを合図に彼女は”残響”としてシステムへと整序される。 進行バーが100%に達しアイコンは消え、「おやすみ。アップデート完了」の最終通知だけが残る。 季節は春へ。通知のない朝に慣れ始めた悠人は、現実の一歩を美羽(みう)と踏み出しつつ、帰り道に差出人不明の一行「ありがと」を受け取る。 既読はつかない――それでも十分だと笑い、空に「おはよう、灯」と告げる。 喪失は終わりではなく、呼びかける声と見る視線の中に続く“残響”として、生の側に静かに残るのだった。

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小説を読もう2025/10/31
  • 現在の作品#リプが届かない彼女。