あらすじ
「だろう出版」の編集長・橘は、「ストレスフリーでサクッと読める」なろう系小説をプロデュースし、業績は絶好調。ランキング1位の『異世界でチートスキルと~』も順調だ。
だがある日、親会社「NARROW」のCEOクロウリー(ガチの日本文学愛好家&オカルトマニア)とのビデオ通話で、橘の地獄(煉獄)は始まった。
「君の『ストレスフリー』も飽きた。これからは『本物』だ」
謎の契約書にサインさせられた瞬間、CEOはオカルト詠唱を開始。橘のオフィスに召喚(物理)されたのは、古風な和装の男――文豪・龍川 芥(りゅうかわ あくた)だった。
ラノベ世代の橘は、目の前の男が「芥川龍之介」その人とは知る由もない。 だが、「先生」はランキング1位作品を一瞥するなり、完璧な「文学的添削」を開始した!
「情緒がない」「『納得』に深みがない」
チート能力は「孤独を知る檻」に。 ハーレム要員は「救済を求める病んだ魂の集合体」に。
こうして完成した「鬱展開・哲学満載」の純文学を公開させられ、ランキングは垂直落下! 「テンポ悪い」「俺のルナちゃんを返せ!」とコメント欄は大炎上! ……なのだが、なぜか一部の批評家からは「異世界のカフカ」と熱狂的に絶賛され!?
「次だ。第二の騎士、駄崎 治(だざき おさむ)を送る」 「まだ来るのか――!?」
「売れる美学(なろう)」VS「純粋な美学(文豪)」。 板挟み編集長の胃痛だらけのメタフィクション・コメディ、開幕。