あらすじ
プロローグ ――灯の在り処
横浜の夜は、どこか懐かしい香りがした。
潮風に混ざる光と音、そして人々の笑い声。
そのすべてが、暁梨には遠い夢のように思えた。
彼と過ごした日々は、まるで炎のように淡く、そして確かに燃えていた。
触れた指先のぬくもりも、最後に交わした言葉も、胸の奥でまだ灯っている。
――命の灯火は、消えるためにあるのではなく、
誰かの心で生き続けるために、燃えるのだと。
暁梨はそっと目を閉じ、風に囁くように呟いた。
「ねぇ、暁月。今日も、あなたの灯が私の中で燃えてるよ――」