あらすじ
「シンデレラはガラスの靴を自作する」
ガラスの靴なんて
もう 落とさない
あの夜会の階段は 眩しすぎて
自分の足音さえ 聞こえなかった
――王子の掌で
わたしは飾りだったのか
それとも 戦利品だったのか
光の裏で ひび割れた指輪を外す
爪の先に まだ血のにおいがする
鏡を割る音のあと
沈黙だけが 真実を語った
「地味だ」と言われたこの手で
わたしは炉を起こす
赤い火が 息づく
鉄の心臓が鳴り始める
溶けるガラスに
涙を一滴 落としてみた
それはもう 痛みではなく
透明な意志だった
靴は 誰かに履かせてもらうものじゃない
自分の足の形を 知るために作るもの
火花が散るたびに
昨日のわたしが剥がれ落ちていく
焦げた空気の匂いの中で
はじめて 生きていると感じた
――あの日の王子よ
あなたの玉座の下に
わたしの影はもうない
ガラスの靴は 棚に飾らない
土を踏み 雨に濡れ 風を裂いて
この足で進む
割れた鏡の破片を集めて
わたしはひとつの宝石を磨く
名を刻む――「M.A.I.」
世界が見上げる光は
誰かの愛ではなく
わたし自身の、再生の輝き