あらすじ
侯爵令嬢フィオナ・アークライトは「氷の令嬢」と呼ばれ、冷徹で近寄りがたいと恐れられている。
だがその仮面の下にあるのは、古代文明の遺産を継ぐ“魔導具技師”としての顔。彼女は国中で起きる魔導災害の裏で、誰にも知られぬまま修理と調整を行う孤高の天才だった。
ある夜、王都の中心にある巨大魔導炉が暴走を始める。
フィオナはボロボロの作業着に身を包み、匿名の技師として現場に潜入する。
そこで彼女が出会ったのは、自身の婚約者であり、社交界で唯一彼女に優しくしてくれる青年公爵アルフレッド。
正体を隠して彼の目の前で炉を救ったフィオナを、アルフレッドは“神の使い”と勘違いしてしまう。
――氷の令嬢として距離を置きつつ、技師としての自分を崇拝される。
そんな奇妙な二重生活が、彼女の静かな日常を少しずつ溶かしていく。