あらすじ
妖(あやかし)と人が共存する和風の帝国〈玄黎(げんれい)〉。その宮廷奥にて、十八歳の少女スズは「宵闇の宮廷薬師」として、皇帝の膳を毒から守る役目を担っていた。幼き日に致死級の毒を浴び、嗅覚以外の五感が低下してしまったスズだが、代わりに「あらゆる毒の匂いを瞬時に嗅ぎ分ける」特異な嗅覚を身につける。
無愛想で人づきあいが苦手な彼女だが、嗅覚は毒だけでなく――後宮に渦巻く陰謀、重なる権力争い、そして皇帝自身が抱える“嘘”すら逃さない。
ある朝、皇帝が膳を前に倒れた。毒は検出されず――だがスズは、皇帝の「嘘」がその身体を蝕んでいることに気づく。毒見役としての枠を超えて、彼女は宮廷の闇へと足を踏み入れる。毒と薬、嘘と真実が交錯する、和風ミステリー・宮廷ファンタジー。