あらすじ
※この作品には、性的描写、暴力描写、残酷描写などの表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
地味で平凡なβ(ベータ)。それが僕、水瀬湊の偽りの姿。
正体を隠し息を潜めるように大学生活を送る僕には、密かな憧れの人がいた。容姿端麗、成績優秀、誰もが羨むアルファの神楽坂蓮。住む世界が違う、遠い存在。
あの日、雨に打たれて倒れていた彼を見つけるまでは。
事故で記憶を失った蓮は、なぜか僕にだけ懐き、子犬のように後をついて回るようになった。「湊のそばが一番安心する」――無邪気な笑顔と甘い言葉に、戸惑いながらも愛しさが芽生える。期間限定の幸せな同居生活。
しかし、蓮の記憶が戻り始めるとき、優しい彼は冷酷で執着心の強いアルファの本性を覗かせる。「お前は、俺だけを見ていればいい」――深くなる瞳、絡めとるような独占欲に、僕は恐怖を覚える。
すれ違う想いと、隠し続けた秘密。僕たちが幼い頃に出会った「運命の番」だったなんて、知る由もなかった。
記憶を取り戻した彼が知るのは、僕の嘘。そして、逃れられない運命の引力。
これは、偽りの仮面を被った地味なオメガと、記憶を失った執着系アルファが、運命に翻弄されながら真実の愛を見つける、甘くて切ないラブストーリー。
【登場人物紹介】
◆水瀬 湊(みなせ みなと)
本作の主人公。青葉学院大学文学部の二年生。
自分が希少な男性オメガであることを隠し、強力な抑制剤を服用してベータとして生活している。
大人しく控えめな性格で、目立つことを嫌う。同じ大学の神楽坂蓮に遠くから憧れている。料理や世話を焼くのが得意。
◆神楽坂 蓮(かぐらざか れん)
湊と同じ青葉学院大学の経営学部に通う二年生。
誰もが振り返るほどの美貌と、圧倒的な存在感を放つアルファ。成績優秀で、大企業の御曹司でもある。
クールで人を寄せ付けない雰囲気をまとっているが、事故で記憶を失った後は、湊にだけ子犬のように懐く甘えん坊になる。その内には、強い独占欲と執着心を秘めている。
◆高槻 健太(たかつき けんた)
湊の唯一の親友で、同じ文学部の学生。明るく社交的な性格のベータ。
湊がオメガであることは知らないが、彼の良き理解者。湊と蓮の関係の変化を心配し、親身に相談に乗る。