あらすじ
「異世界召喚の理由が『鮭が焦げたから』だった——」
そんなバカな話、信じられるか?
でも実際、俺はそういう理由で異世界に召喚されたのだ。
いや、正確には——隣のおばさんの家の裏口から。
その日、俺は皿の上の黒焦げの鮭を前に崩れ落ちていた。
煙。油。涙。
コンロの上は戦場、いや、もはや焼け野原だった。
「……また焦げた。なんでだよ……!」
換気扇は悲鳴をあげ、台所全体がサバイバル状態。
天井には煙がもくもく、床には魚の皮がひらひら。
………、
「あなた、鮭がうまく焼けないんですってね?」
開口一番、それである。
「……え?」
なぜ知ってる。いや、煙の量で察したのか。
「うちの換気扇、煙に反応するのよ」
千田さんはにっこり笑った。
「かわいそうに。そんなあなたに——鮭焼き修行のために異世界を紹介してあげるわ」
「……異世界?」
「そうよ。大丈夫、歩いて五分で帰れるからよ」
軽い。あまりにも軽い。
■以前に書いたのを書き直しました。
■毎日更新予定、とりあえず35話まで。