あらすじ
高校三年生になった彩花は、退屈な日々を過ごしていた。夢なんてない。自分が何をしたいのかなんて分からない。そんな中で、「勉強しなさい」と周りから言われる毎日。夏休みの田舎町は、蝉の声と暑さに支配され、逃げる場所もない──彩花にとって息苦しいだけだった。
そんなある日、駄菓子屋「さくら商店」でラムネの瓶を手に取った瞬間、少年・悠斗が現れる。店主の甥っ子で、夏の間だけ町に滞在する彼は、無邪気な笑顔で彩花をベンチに誘い、シュッと弾けるラムネを共に味わう。しかし、悠斗は夏が終わる頃には去ってしまう運命だった。そのことを知らない彩花は、彼とのささやかな時間を通じて、単調だと思っていた日常の輝きに気づき始める。ラムネの気泡のように儚く消える夏の日々が、彼女に大切なものを教えてくれた。